副業動画編集者は注意!動画編集ディレクターと名乗る人はいわゆる「ディレクター」ではない?

ディレクターって何?監督のことじゃないの?

「ディレクター」ってよく聞く肩書きですよね。Webデイレクターとかテレビのディレクターとか、なんとなくわかるような気がしますが、実はその業界によって少しずつ意味が違っているんです。

まずは研究社の新英和中辞典で英語の「director」の意味を調べてみましょう。

  1. 指導者指揮者.
  2. 管理者長官局長.
  3. 重役取締役理事.
  4. (高校などの)校長主事.
  5. 【演劇】 演出家.
  6. 【映画】 監督.
  7. 主に米国で用いられる》【音楽】 指揮者.

ディレクターと一口に言っても実はこんなに意味があるんです。共通する点は、何らかの組織をまとめる人や責任者といったところでしょうか。

映像業界ではこの「ディレクター」という肩書きをよく使います。

日本映画ではディレクターという表現はあまり使いませんが、ディレクターはすなわち「監督」を表しています。スピルバーグとかタランティーノの肩書きは当然「director」です。山田洋次監督も海外ではディレクターと呼ばれるということになります。

テレビ業界で「ディレクター」って何をしている人?

ところがテレビ業界における「ディレクター」は極論すると「あるVTRやブロックを担当する責任者のこと」です。

例えばバラエティ番組の途中でVTRが出る時、そのVTRを担当して台本をまとめ、ロケをして編集を行い、ナレーションを入れて完成するまでを担当するのがディレクターという役職です。ロケ現場では責任者でもあり、カメラマンや音声、照明、衣装、メイクなど、撮影にまつわる人たちに指示を出すのもディレクターです。

下積みとしてADを数年経て、周囲に「こいつはディレクターとしてやっていけるな!」と認められないとなれないため、ある程度の業界知識と実力を備えてからでないとディレクターとは名乗れないのが普通です。

さらにディレクターの上の肩書きもテレビには存在します。

演出・・・各ディレクターを束ね、その回の番組の担当者ディレクターとして責任を負う人。一本化ディレクターとも呼ばれます。

総合演出・・・その番組で一番偉いディレクターで演出の責任を負う人。


まれに番組の全責任を負う意味で「総監督」と名乗る人もいます。

ちなみに「プロデューサー」もよく聞く肩書きですが、こちらもその業界によって仕事内容が違いますので、別の機会でご紹介したいと思います。

動画編集業界で「ディレクター」とは?

近年YouTubeをはじめとする動画編集業界が勢いを増し、パソコンのスペックアップもあって誰でも気軽に動画編集ができる時代となってきました。

映画業界やテレビ業界から入る人も多いですが、副業として動画編集を行う人も増えてきて、プログラマーやブロガー、アフェリエイターと並んでブームになりつつある仕事の一つとも言えるでしょう。

この動画編集の世界でも「ディレクター」を名乗る人が増えてきました。ところが最近、動画編集ディレクターという肩書きに疑問を覚えることが個人的に多くなってきました。

動画編集者は「広告主やYouTuber」などから動画の編集を請け負い、編集をしてテロップや音楽を入れて完成させる人です。副業として行ったり、大学生や高校生でやっている人も多くなってきています。

彼らはアウトソーシングサイト、例えばランサーズやクラウドワークス、ココナラなどで仕事を提案して請け負うのが普通のワークスタイルです。

中には仕事を何本も請け負う営業力に長けた方もたくさんいますが、もちろん一人でできる分量には限りがあります。そのため動画編集者同士でチームを組むこともあります。

誰が言い始めたのか、そのチームを取りまとめる人を現在「ディレクター」と呼ぶようになっています。もちろん動画編集のクオリティに責任を持ち、演出面をしっかりフォローする方であれば「ディレクション」すなわち演出を行っていると言えるため、ディレクターと名乗っても問題ないでしょう。

今回問題としたいのは、ただ仕事を振り分けて取り分をピンハネするだけの「動画編集名ばかりディレクター」です。

やりがい搾取を狙う新たなブラック副業の温床?

人材派遣業界が儲かるのは世の常。あえて実例を書くまでもありませんね。もちろんビジネスとして必要であり、両者がwin-winの関係であれば問題はありません。

ところが動画編集業界はまだ未成熟なため、クライアントも現場の編集者もまだまだ手探りなところがあります。

動画編集が趣味で「編集をするのが楽しい!」と思っているうちは問題ないでしょう。本業の合間に副業で動画編集をして月に数万円得ることが目的ならば良い仕事だと思います。

でも多いのは「動画編集をどんどん増やしていって独立、フリーランスになる!」と思っている人たちです。

動画編集は基本的に孤独な作業であり、時間単位で行うものです。腕を上げていき効率をアップして時給を上げていくこともできる反面、ある程度以上の作業は所詮素人仕事では難しいものでもあります。

編集の上位互換としてポストプロダクションがあって、音響効果さんがいて、整音を行うMAのミキサーがいるわけです。一人でできるクオリティには限界があるわけです。大手企業のCMやテレビ番組が動画編集者に直接依頼しないのは「クオリティが低い」からに他なりません。

最後に注意!ピンハネ動画ディレクターの見分け方

異様に単価が安い → ピンハネしているのであまり金額を出せないため

単価はまあまあだが、尺が長い → 尺が倍だと作業量は3倍近くになり、結果作業効率が悪くなります。

編集指示が薄い → ディレクターとしての機能を果たしていません。あなたのことを単なる作業する下請けとしか見ていない可能性があります。

初回のみ異様に単価が安い → これは発注側からすると「実力がない編集者にお金を払えない」というリスク管理でもありますが、それでも異様に安い場合は注意が必要です。その後も仕事量に見合わない単価に落ち着くことが多くなります。

やたら意識高いことを書く → 経験が浅いうちは意識高い系のコメントに影響されがちです。ですが本当に実績と実力がある人は、そういった無駄なコメントはしません。何らかの意味があって意識高いことを書いていると疑った方が良いでしょう。

以上、個人的に注意したい点を書きました。

動画編集は楽しいですが、正直言って「地味な作業」です。下手をすればやりがい搾取に陥り、コンビニバイトの時給の方が高くなることもありますので、これから副業で動画編集を目指す方は気をつけましょう。

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