35歳で転職を決意した私
突然ですが、私は35歳の時に一度、転職を考えていました。
新卒以来ずっと、いわゆるギョーカイ系の仕事をしていた私ですが、10代の頃の夢のひとつであった「保育士」になろうと思い立ったのです。
なぜ給与が安くて有名な(失礼)保育士になろうと思ったのでしょうか?
もちろん大きな理由は「子供が大好きだったから」。
いやバカな、幼稚園や保育園にもクソガキはたくさんいるぞ!そう思う子供ギライの方も多いと思いますが、実は幼稚園ぐらいの年代の子供は、行動はともかくその思考自体にそんなに罪はありません。小学校高学年ぐらいから始まる「大人社会の縮図」的な行動はまだ持ち込まれていないと個人的には思っています。そんな純粋な子供たちに「せんせーい!」と呼ばれてみたいほど、子供が好きだったのです。
中学時代、教員だった父の影響もあって小学校教員を目指していたことも影響していたのかもしれません。もしくは、めぞん一刻の五代くんになって「響子さん好きじゃあー!」と言いたかったのかもしれません。
とにかく突然決意し、保育士の資格を取るための参考書を買い、徹夜続きの仕事終わりで熱心に参考書を見始めました。ところが勉強を始めて3日目ぐらいのある日、私はネットである事実に気づいたのです。
それは関東近辺の幼稚園や保育園の求人を見ていた時のこと。
求人の99%は「年齢35歳まで」で、保育士の求人の中心は20代前半でした。思い立った時に35歳だった私にはハードルが高すぎました。いやそもそもスタートラインにすら立てませんでした。思い立つのが少なくとも1年遅かったのです。
35歳は転職における大きな分岐点
現代の日本では、35歳は転職における大きな分岐点だと囁かれています。
リクルートワークス研究所の調査によると、転職前後の年収変化で「10%以上年収が上がる人」の割合は、30〜34歳世代で47.2%いるのに対し、35歳〜39歳世代では44.6%と減少。これが40〜49歳では40.3%と、年収増加者は年齢とともに減っていくそうです。
実際、私も採用側に回って新人や転職者の面接を担当することもありました。求人が来ても「30代?すでにダメじゃん」と心の中でバツを出していました。ましてや40代50代が来ると、おっさん一体何をしにきたの?とその行動に疑問すら感じていたのです。
それなのになぜ、私は50歳で転職を決意したのか?
普段の仕事では誰の指図も受けずに自由に生きてきた(わけでもありませんが、会社員に比べれば自由です)私が、こんな年齢になって転職を決意したのには深い理由がありました。
ひとつが2020年からのコロナ禍です。首都圏からあまり出られず、繁華街も自在に動けず、海外にも行けない。さらに企業の業績は冷え込んで広告費は減り、巡り巡って自分の会社の仕事も激減。これまでのアプローチでは仕事が取れなくなってしまったのです。
ふたつめは老後。年金はずっと払っているものの、10年以上は国民年金だったから受給金額が期待できません。そして自分の会社なので今後の退職金が期待できない(つまり自分の仕事の業績が上がらないとそもそも払えない)ことで、いざ50歳手前で急に老後の不安が増してきたのです。
とはいえ35歳の時の転職活動はわずか3日のみで、実際に転職活動を行なったとは言えません。いよいよ私も、何らかの行動をしなければなりませんでした。
転職を考えた時に一体どうしたらいいのか?CMなどでよく聞く転職サイトを覗けばいいの?未経験の私にはとりあえずそれしか思いつきませんでした。
頭に浮かんだ転職サイトは「マイナビ」「doda」 「リクルート」。そしてここ数年、CMでよく聞くフレーズ「仕事バイト探しはインディード!」の「Indeed」。このへんで探してみようか・・・私は行動を開始しました。
ところが、50歳の転職は私が思った以上に厳しいものでした。
信じられない数の門前払い。面接の相手が多分全員、自分より年下。
そして30年以上勉強していないおっさんに襲いかかる、恐怖のSPI。数学で挫折したこの私に、高校の数学の問題を2分で解けと?
次回は50代のおっさんが実際に使ってみて感じた「転職サイト」の体験談、そして50代転職希望者に対する各企業の対応と、現在の転職市場について考察してみたいと思います。
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